2014年1月26日日曜日

3DS「星のカービィ トリプルデラックス」レビュー+攻略:カービィブランドの正統進化

ネタバレありです。現在クリア率84%。
星のカービィ トリプルデラックス
 まずは全体的な印象から。
『トリプルデラックス』。最初に聞いた時は「安直だなあ」と思ったものでした。
名作「スーパーデラックス」を彷彿とさせるネーミング。3DSだからトリプル。
「くっつければいいってもんじゃねーぞ」という印象は拭えません。おまけにシリーズの生みの親の桜井氏ははスマッシュブラザーズの開発に専念している状態。果たして出来のほどは、と心配になる方もいるでしょう。
しかしそれは杞憂です。
確かにベタはベタなのですが、ベッタベタな要素を高いレベルでまとめ上げているのが今作の特徴といえます。

何と言っても今回の目玉は3Dでしょう。それもただの3Dではありません。ただ背景に対してステージを浮き上がらせて奥行きを見せているのではなく、ステージの仕掛けと3Dをしっかりと組み合わせる事で奥行きを体感させる作りになっているのです。
ステージの奥から敵や障害物が襲ってきたり、奥の石柱の根本を壊すと手前の障害物を壊せたり、やみくもに壊してしまうとアイテムを手に入れられなくなったり……
カービィがステージを進めていく内にまるでプレイヤーもステージの奥へ、奥へと進んでいくような錯覚を覚えます。
デモ・プレイ動画を見るとしょっちゅうステージの手前と行き来するので煩雑になるのではないかと思われるでしょうが、実際に触ってみると移動の鍵となるワープスターの速さと効果音が心地よく、テンポを落としません。
同じく目玉の一つであるビッグバンすいこみも、ステージの手前と奥を連動させて障害物を乗り越えて進むスイッチとなっており、これもまた3Dを活かす作り。
こうした仕掛けの難度自体はそれほど高くなく、謎解きというよりは派手な動きで爽快感を演出する方向です。
他にも3DSを傾けると移動する大砲など、3D以外にもハードの機能をきっちり活かした仕掛けと謎解きを取り揃えています。

もう一つの今回の目玉、キーホルダー集め。
モードセレクト画面では今まで集めたキーホルダーを展示されるのですが、
集まってくると共通点のあるキャラクター同士が並ぶようになります。
・青系、赤系などの似た色を持つキャラクター
・獣系、鳥系
・出演作品
などで揃えられたキャラクターが並んでいるとファンはニヤリとさせられます。
本体を傾けるとキーホルダーが重力に従って偏り、その間は3D機能が解除されるなどの工夫も。

更に
・コマンド入力を使って一つの能力で多彩な技を使える(スーパーデラックス)
・アシストスターによる回復アイテム保持(ドロッチェ団)
・大砲を使ったゴールゲーム
など、今までのシリーズで追加されていった要素の中から良いとこ取りをしているのが分かります。

サブゲームも充実。
カービィファイターズではカービィ同士で能力を固定しての「スマブラ」のような闘いが出来ます。ひとりでモードでは全コピーを相手の勝ち抜き戦、みんなでモードでは最大四人での乱闘が出来ます。ダウンロードプレイもできるので一つしかソフトが無くとも安心。(ただし相手方が使えるコピーはソード・カッターに限定されていますが……)
リズムゲームの大王のデデデでドンは……正直、かなり手応えがあります。リズム天国シリーズも目じゃないぐらいの難しさ。レビューはもう少し先になりそうです。

ここから先は本編で印象に残った細々とした事を上げていきます。ネタバレあり。

今作は残機が7からのスタート。今までのシリーズは残機2〜3からのスタートだったため、慣れない内はあっという間にゲームオーバーになってしまったものです。しかし初期残機の増加によりより初心者に優しくなったと言えるでしょう。

今回カービィ2での虹のしずく、カービィ64でのクリスタルのかけらに相当する収集アイテムは「サンストーン」です。レベル中である程度集めるとそのレベルのボスへの挑戦権が手に入り、更にレベル中全てのステージのサンストーンを集めるとエクストラステージが開放され、謎解きへのインセンティブを与えています。とはいってもカービィ2,3や64と違って全て集めないと真のエンディングが見れないということはないので謎解きが苦手な方はご安心を……

5-5ではお馴染みの中ボスタワー。BGMは名曲、リップルスター3面のアレンジです。
聞いたことのない方のために原曲の雰囲気を再現していると思われるアレンジを張っておきます。
 原曲も最終決戦に赴く直前の緊迫した雰囲気が出ていましたが、トリデラの方のアレンジは更に怪しげでメロディアスに仕上がった印象があります。

最終ステージではラスボスの住む部屋へと至る鍵を解除していきます。アツいBGMと共にカービィが囚われのフロラルドの住人たちを開放していく所はまさにヒーロー!

さて、レベル6まで到達している方の中には気づいていらっしゃる方も多いでしょうが、夢の泉などの例に倣って各レベルの頭文字が揃っており(Fain Field,Ever Explosionなど)、頭文字を繋げると「FLOWER」になる事に気づきます。
でも、夢の泉の例に倣うならレベル7まであってしかるべきじゃないの?とこの時点ではちょっと物足りない気分になっていました。
ところがラスボスの第一形態を倒すとレベル7「ETERNAL DREAMLAND」へと突入。
そしてエンディングのムービー名が「FLOWERED」となっていることに「スタッフ、分かってる!」と思わず胸がアツくなります。
更にここでフロラルドの住人たちの用意した大砲を使ってラスボスの包囲網を大王と抜けていくわけですが、これがラスボス最終形態戦でのチュートリアルとなっている構成も大変うまい。ラスボス戦でお馴染みのシューティング要素を3DSの機能と一緒に組み込めています。本体を傾けるのが苦手な人のためにスライドパッドを使えるようになっているのも◯。

この辺りでちょっとした攻略メモを置いておきましょう。
もしデデデ大王を倒した後にカービィが倒れた場合、コピーの素とが置いてある部屋からやり直してラスボス第一形態へと突入する事になります。その中ではスナイパーサーカスをお勧めします。
スナイパーは遠距離から強力な攻撃技を放てるために突然の攻撃にもダメージを受けにくく、
サーカスは玉乗りやトランポリンなどの優秀な無敵技が上にも判定があるため、ステージ中段に浮いているラスボスにダメージが通りやすいのです。
ラスボスの第二形態に入る前にコピーの素が複数置かれていますが、ここではリーフをお勧めします。
・第二形態ではダメージが通る目玉のユニットがステージ上部に浮いている
・リーフのB攻撃は上に舞い上がる軌道を描く
ため、Bボタンを連打しているだけでどんどんダメージが通ります。
更にリーフのガードは特殊で、通常はガードを貫通してしまう攻撃でもすり抜けるためダメージを受けにくい。慣れてくれば他のコピーの方が手早く撃破できますが、慣れない内はリーフを使いましょう。

ラスボスの最終形態戦もまたアツい。先ほどチュートリアルを済ませたシューティング要素を使ってラスボスの張るバリアを破壊していきます。
BGMはビッグバンすいこみでの曲とグリーングリーンズを織り交ぜたアレンジです。
正直言って最終レベルになるまではビッグバンすいこみのBGMにはいまいちピンとくるものが無かったのですが、こうまでアレンジをされては気に入るしかありません。
ラスボス戦でメインテーマをアレンジするのは広く使われている手法ではありますが、きっちり王道を取ってくるのは流石です。
私はニンテンドークラブのポイント交換でマリオギャラクシー2のサントラ引き換え目指して400ポイントまで貯めていたのですが、トリデラ購入者向けに400ポイント→250ポイントの値引きキャンペーンをやっている(2014/04/30まで)と聞いて思わず交換してしまいました。

ここからは隠し要素のネタバレです。

本編をクリアすると、お馴染みボスとの連戦「格闘王への道」と「デデデでゴー!」がモードセレクトで開放されます。
今回はボス戦中にポーズ画面にするとボスのバックストーリーが明らかにされるので、クラッコ・ウィスピーウッズなどのレギュラーキャラクターのファンは格闘王で確認してみると良いでしょう。

さて、デデデでゴー!では夢の泉DXやUSDXのメタナイトでゴー!のように、デデデ大王をプレイヤーキャラとして操作するわけですが……
このデデデ大王、とても強いです。「ハンマーと、今作屈指の強能力であるスナイパーの遠近両刀使い」と言えばどれだけ強いのかが分かるかと思います。
遠距離攻撃では切断判定があり、ロープや的などの仕掛けをクリアしていくことになります。

回復アイテムが少ない代わりにサンストーンなどがレベルアップ関連アイテムに置き換わっており、プレイしていく内にガンガン残機が上がっていきます。
この変更により「死にやすく、やり直しやすい」バランスになっています。
夢の泉DXのメタナイトでゴーではクリアするまではセーブ出来なかったのも、各所に休憩所を設けることにより解決。レベル6に入ると休憩所のBGMが変わるなど、ちょっとした事でアツくなる演出がここにも。
各所に用意されたショートカットもあり、レベル5までは5分で休憩所、15分もあればレベルを突破できるボリュームですが、レベル6だけは1時間は軽く掛かる仕様となっておりますのでご注意を……

デデデでゴー!のラスボスは本編とは違った懐かしのアイツが登場します。
ダークメタナイトです。鏡の大迷宮以来ですね。
メタナイトはしょっちゅうこちらの攻撃を防御してくるのでダメージが通りにくく、こちらが避けるのが難しい技が多いため、無敵時間のあるダッシュ+Bが有効です。

さて、デデデでゴー!をクリアして気づいたことをいくつか。
・本編のクリア画面では画面下部にand more……と表示されていたのに対し、デデデでゴー!クリア画面ではTHE ENDとなっている
・クリア後モードセレクト画面のBGMが変わる
などから、「デデデでゴー!」のクリアが真のエンディングとのスタッフのメッセージなのでしょう。ダークメタナイトを倒した後の達成感は格別です。

「デデデでゴー!」をクリアするとサウンドテストが開放されます。
さて、「ニンテンドー3DSサウンド」では3DSを閉じていてもイヤホンを挿していれば聴くことが出来たわけですが、他のソフトのサウンドテストでも同じことがしたいと思ったことはありませんか? 私も「鬼トレ 」での音楽鑑賞モードをスリープ中に聴けないのが不満でした。トリデラはそこもキッチリ配慮しています。
トリデラでのサウンドテストの再生中は3DSを閉じていてもスリープするのは画面のみで、イヤホンを挿していれば音楽が聞けるようになっています。その代わりサウンドテストでのスリープ中はイヤホンを挿していなくても電池の減りが速くなっているのでご注意を。
ステージBGMは切れ目なく自動でループ再生してくれ、AUTOモードにすれば全曲を通しで再生してくれます。サウンドテストというオマケに近い機能でもユーザの需要を汲み取れているのがよく分かりますね。

カービィシリーズのお約束を踏まえつつ、新しいことにも挑戦する。
そつなく、かつアツく。新旧二つの要素を両立し、丁寧さと型破りさを併せ持ったこのゲームはまさにデラックスの名に相応しい贅沢な出来です。貴方も試してみませんか?
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星のカービィ トリプルデラックス
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売り上げランキング: 2

2014年1月22日水曜日

マイケル・クライトン「大列車強盗」レビュー

 クーンツの読書マラソン、45冊目はマイケル・クライトン「大列車強盗 (ハヤカワ文庫 NV 256)」です。ネタバレを含みます。
大列車強盗 (ハヤカワ文庫 NV 256)
 作者のマイケル・クライトンは非常に多芸な人物です。ハーバード大学で医学博士号を取得し、その医学知識をふんだんに活用してバイオ・パニックSF「アンドロメダ病原体」を仕上げたかと思えば、映画「ジュラシック・パーク」の脚本でヒットを飛ばしたり。その腕前は歴史小説の本作でも発揮されています。
 話の筋は単純。ヴィクトリア朝のイギリスで悪党エドワード・ピアースが大胆な強盗計画を発案します。フランスとイギリスをつなぐ輸送列車から、クリミア戦争で闘う兵士たちの給料に充てられる金塊一万二千ポンドを盗みだそうというのです!
 しかし金塊を守る側も一筋縄ではいきません。当時最新鋭の防犯技術が施された金庫を破るために、同じく銀行のセキュリティで守られている四つの鍵を入手しなければならないのです。しかも列車の厳重な警備を掻い潜った上で!
 過去の経歴が一切謎の英国紳士ピアースは、金庫破りのエイガー・潜入の天才“すらり”のウィリー・貧困にあえぐ鉄道警備員バージェスたちを従えてこれに立ち向かいます。
 そこで光るのは登場人物たちの演技力。ある時は闘犬という共通の趣味から近づき、またある時はスリに化けて偽物の盗難事件をでっち上げ、鍵の番人である銀行家達を次々に籠絡していく様子はなんとも言えずワクワクします。
 仲間の賃上げ要求と裏切り、些細な事件からのセキュリティの変更などのアクシデントを乗り越えて彼らの努力は決行日に結実し、やがては“The Great Train Robbery”(大列車強盗)と呼ばれることになるのです。
(当時は何か大きな事が起こると何でも“Great”をつける時代ではあったそうですが)
 ネタバレにはなりますが、この本ではピアースとその仲間たちが逮捕されて裁判になるという結末が最初の段階で示唆されています。にも拘わらずこれらの悪漢たちと銀行・鉄道会社の攻防はスリリングさを全く失っていません。
 それを彩るヴィクトリア朝の風俗描写もまた魅力的です。激しい女性差別とそれを逆手に取る女達のたくましさ。公開処刑を娯楽として楽しむ庶民たち。ネズミを食い殺す血みどろの闘犬試合を貴賎様々な階級が入り混じって楽しむ様子など、1850年代のイギリスは興味を惹く題材には事欠きません。それだけの情報をこれでもか、これでもかと盛り込むわけですから読む側としては消化不良を起こしそうなものですが、マイケル・クライトンの手に掛かると全くそんな事はないのです。
 アメリカのホラー小説の大家、ディーン・クーンツも「ベストセラー小説の書き方」の中で次のように絶賛しています。
マイケル・クライトンの傑作『大列車強盗』は、大胆な列車強盗の計画から実行へと話が展開するなかに、ヴィクトリア朝のイギリスに関するおびただしい描写が、無理なく織りこまれている。バックグラウンドの材料がひとかたまりにならないように配慮するお手本として、彼の作品の一読を、ぜひすすめたい。
当代一の大犯罪を犯人の視点からドキュメンタリー・タッチで描写することで仕上げられた一流のクライム・サスペンス。結末は痛快です。
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ショーン・コネリーで主演でも映画化されています。
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2014年1月21日火曜日

レイ・ブラッドベリ「ウは宇宙船のウ」レビュー

ツイッターでも紹介したクーンツの読書マラソン、44冊目はレイ・ブラッドベリ「ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)」です。

この本は70年間に渡って活躍した小説家、レイ・ブラッドベリが1962年までに出版した多数の作品集の中から自薦した短編を自薦しより集めたものです。それだけにベスト・オブ・ベストといえる出来になっており、作者が数多くの短篇集から自薦しただけあって他の短篇集ならトップ級の作品が目白押し。
透明感とノスタルジアに溢れた文体などブラッドベリの魅力については多くが語られていますが、ここでは特別に印象に残った対照的な二作を取り上げてみましょう。
まず、『長雨』。
金星に不時着した一行が殺人的な降雨で狂気に陥り自滅していきます。
ある者は鼻から雨が入って溺れ死に、またある者は周りから人がいなくなるのを待ち銃で自決を遂げる。
果たして中尉は安全地帯「太陽ドーム」に辿り着けるのでしょうか?
 『霜と炎』。
太陽の放射線が地表を灼く水星に不時着した人類は寿命が八日に縮んでしまいます。それでも彼らは一世代八日のサイクルで子孫を残し、少しでも寿命を伸ばすべく遮蔽物を奪い合って命脈を保とうとするのですが、そんな状況に反旗を翻した一人の少年が。ライバルの出現、ヒロインとの出会い。少年は脱出の希望となる宇宙船に辿り着けるのか。
どちらも極限状況の人間と自然との闘い、わずかな希望を掴もうとあがく壮大な脱出劇を描き出しています。その緊張感は貴方を捕らえて離さない事でしょう。
他にも
・あらゆるフィクションが発禁となってしまった世界の宇宙船員と、焚書から逃れでた文豪・そのキャラクターの亡霊との闘いを描く「亡命した人々」
・灯台の笛の音に仲間の面影を求める古代生物の悲哀を描く「霧笛」
・好意を持つ者には望むものを全て与え、敵意には敵意を以って応える惑星の「この地には虎数匹おれり」
などなど、
火星年代記 (ハヤカワ文庫SF) の次に読むなら間違いなくこれをお勧めします。
ファンタジー・SF・ホラー、ブラッドベリの変幻自在さをお楽しみください。
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ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)
レイ・ブラッドベリ
東京創元社
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