2015年5月17日日曜日

【例大祭12】東方SCP合同誌"SCP-8901-THP"レビュー


無事に5/10の例大祭12を終えることが出来たので、戦利品のレビューを行います。
まずは私も寄稿した東方SCP合同から。
「蛇と予言と使者殺し」電子版は初めての組版で難航しているのでもう少しお待ちください。
この合同誌自体がSCPであること(という設定)を示す封筒と報告書。このように装丁にも非常なこだわりが感じられます。
掲載順に感想をば。一部ネタバレあり。

もなつ @monatsu 「うつくしきもののために」題材:SCP-1009
メリーがその境界を越える時、何が起こるのか。本編は4Pとシンプルながら、その前後に横たわる物語について豊かなイマジネーションを引き起こします。怪奇「創作」wikiを題材にしたこの合同の幕開けにふさわしく綺麗なお話。

喚く狂人 @wamekukyouzin 「取罪」題材:SCP-318-JP
とあるレコードに覆い隠された、人里の下に潜む醜悪なもののお話。百合厨は心を抉られて死ぬ(死んだ)東方二次創作としてはエグいもののSCPの創作としては正統派かも?
財団wikiにTaleとして投稿しても違和感はないでしょう。

tominion @tominion_ 「マエリベリー・ハーンの存在論的境界小考」題材:SCP-609
秘封と、例の忌々しい6番ボールだ。ワーオ!蓮子が見つけてしまっただけでも厄介なのに、そいつの事をメリーが知ってタダ球が増えるだけで済むはずもなく……?
オチはベタながら……えーとなんだっけ。温泉行きたい。

鵜飼かいゆ @bird_hunter_mad「あなたにはなにがみえますか」題材:SCP-8900-EX
サトリは色盲だという。こいしと紫が会話するだけの一見穏やかな話だが、元ネタのSCP-8900-EXを読んだ上で冒頭を読み返せば印象は大きく変わるだろう。間違っているのは、嘘つきは一体どちらなのだろうか。

楷ノ木かえで @KainokiKaede 「あいでんてぃてぃ☆くらいしす」題材:SCP-180
ぬえちゃんがSCP-180に<<正体不明>>を奪われた!命蓮寺に駆け込むが、アイデンティティを失った彼女は誰にもマトモに取り合ってもらえず……
普通に考えれば帽子が誰かの手に渡ったことでぬえちゃんの努力とは一切関係なしに事態が解決してしまったという事になるけど、 個人的にはぬえが自分自身の正体不明さに恐怖したことで自力でアイデンティティを取り戻し、SCP-180を破ったという説を取りたいです。
SCP-055との対決も見てみたい!

けんしん @kenshin3 「while True:」題材:SCP-634SCP-____-J
三月精の三人が、どういうわけかSCP-634とSCP-____-Jに同時に触れてしまったからさあ大変。ルナが現場を離れればなんとかなるので、この後アリスあたりに相談して助けてもらうんでしょうか。タイトルはプログラマーならニヤリ(無限ループを表すコード)

10式戦車 @Type10TK「ビタースイート・ファーストコンタクト」題材:SCP-140
幻想郷・ミーツ・SCP。悪意のある何者かが幻想郷にSCP-140“未完の年代記”を持ち込んだ!重症で診療所送りになる魔理沙、残された魔女たちと紫と動く!カッコいいパチュアリが見れます。財団側が幻想郷に対して使った「自発的な収容」というフレーズにニヤリ。もし財団と紫が接触したらまさにこんな風になるだろう、という場面を上手く描き出しています。
幻想郷側が危険なSCPをハッキリと認識したらこんな反応をするだろうし、財団は財団で幻想郷を認識したらこういう対応をするだろう、というお互いの視点が伺えてニヤリとさせられます。もう少し尺があったらSCP-140の脅威をより詳細に描き出すべく魔理沙の苦しむ様子をより写実的に……いや何でもないです。

海沢海綿 @ka_i_me_n 「割れた女王月」題材:SCP-1812
ホラー。わかさぎ姫が溺れる、という不可解で衝撃的なシーンから始まる。その文体は水彩画のように透明で美しく、油絵のように繊細で緻密。ホラー要素を前面に出したTaleにはこの上なく合っている。その代わりいわゆる王道エンタメ要素は皆無。苦手な人はいるだろう。
海綿さんっていわゆるエンタメ要素を犠牲にしているというか、入れたらあの文体は成り立たないと言えるところまで話運びと文体が一致したスタイルを作り上げているんだけど、怪奇創作としてのSCPをテーマにした合同ということを考えればむしろ海綿さんのやり方こそが王道なんだろうな(おえっぷ)

肥溜め落ち太郎 @sosohikiniku4 「Lifework」題材:SCP-001“スキャントロンの提言”
UIU所属の主人公と、大企業を抜け出したフランとの出会いと別れをラノベ風の文体で軽快に綴る。ともすれば存在がジョーク・かませ犬と揶揄されがちなFBI異常事件課だが、これを読んだ後は好きになってるかも?
ちょっとSCP-001との繋がりが分からなかったので肥溜めさんに直接お聞きしました。


私の寄稿分「蛇と予言と使者殺し」も大変ご好評を頂いているようで非常に嬉しいです。
近々ふせったーを通じて行った解説をまとめて記事にしようと思います!

アリスブックスで委託も行っているのでよろしくお願いします!価格は1700円。

2015年5月6日水曜日

【同人誌レビュー】カリニヒタ「童六舞姫」


例大祭12を間近に控え、GWは積み本消化週間となりました。
今回はカリニヒタ「童六舞姫」。
童六舞姫は冬コミ(C87)で頒布された童謡モチーフの小説合同誌です。
特設サイトはこちら。

S.D.「さんさん秋日和」
「大きな栗の木の下で」モチーフの秋姉妹主人公のお話。
季節に関わる異変を起こしすぎたのか、幻想郷に秋が来ない!
秋姉妹は魔理沙と協力して秋度を集め、妖怪の山で宴会を開催する事に。しかし山に余所者を入れたがらない天狗の反対により交渉は一筋縄ではいかず……幻想郷らしい幻想郷を描かれる。秋晴れのようにからっとして爽やかなお話。

めるめるめるめ(創想話)「清廉と積む雪の帳に、飾る花は赤く赤く」
「通りゃんせ」モチーフのパルスィの過去話。『夜に橋を渡ってはならない』水橋の村で虐げられる姉妹。妹は病に倒れ、奪われることに嫌気が差した姉は人斬りに身を落とす。ひたすら重い! 暗い! 娯楽要素ゼロ!
でも最後の最後でちょっとひねりを加えてくれたので好きです。
実はヤマパルかもしれない。

Pumpkin(創想話)(Twitter)「リチウム色の瞳の向こうに」
「星めぐりの歌」モチーフの鈴仙とフランドールの歓談。嫌われ者のよだかの星と自分を重ね合わせるフランドール。紅茶と鈴仙の瞳とフランドールの羽とで色彩の描写に溢れ、小説というよりはポエムみたいな感じでした。

こうず(創想話)(Twitter)「躯の姫はなお唄う」
「かなりや」モチーフ。
神子の御幸の途中で行方不明になった芳香を布都の以来で追う屠自古と途中で行き会った白蓮の対話と行進。
冒頭で殺人は起こるけど特に解決されずに終わる。草の匂いが漂うような豊富な語彙で美しく描写されてはいるけど、この幻想郷にはとても好感を持てない!
こうずさん自身もそれを狙って描写しているフシがあります。
微妙にみことじ要素あり。

白衣(創想話)(Twitter)「ameFFri」(一つ目のFは鏡文字)
「あめふり」モチーフ。
幼少期、雨に濡れていた霊夢は魔理沙にもらった傘をダサいと捨ててしまう。化けて出た小傘は成り行きで霊夢のお母さんになることに!
しかし当然彼女は母の何たるかなどとは知らず、慧音に助言を乞いに行くことに……
ここまでに重かったりポエミーだったり殺伐としてたりな作品が続いていたので、軽妙で王道な文脈に則ったストーリー展開にすごく安心します。
出会い、親愛の深まり、別れ……まさに直球!

百円玉(創想話)(Twitter)「仙波山」
「あんたがたどこさ」モチーフのマミゾウ過去話。
時は幕末。佐渡から旅してきたという名も無き女郎は、何かわけがあって日光東照宮を目指しているらしい。しかし道中には新政府軍と旧幕府軍の兵がひしめき、東照宮自身にも怪異が取り憑いているという。
あの黒い蝶はなんだったのか、名を貸すということがどういう事か、色々と謎を残して閉幕。あれ、まさか家康……?

さて、そんなサークル「カリニヒタ」ですが、5/10の例大祭でも小説合同誌を頒布するそうです。このレビューを読んで興味をお持ちの方はスペースに足を運んでみてはいかがでしょうか?